次代の司令塔争いに、22歳の天才が名乗りを上げた。ラグビーのリーグワン、東京SGの新人SO高本幹也は12月のシーズン開幕での先発出場を狙う。さらに見据えるのは、2027年開催のワールドカップ(W杯)オーストラリア大会。「4年あれば日本代表でも10番」と思い描く。
◆「世代ナンバーワン」の呼び声も
帝京大で2年からレギュラーに定着。3、4年時に全国大学選手権で2年続けて頂点に立った。この世代の学生ナンバーワンSOと呼び声が高い逸材だ。
東京SGでは9月に始まった練習試合の初戦から3戦続けて先発出場。3試合目のブランビーズ(オーストラリア)戦では世界レベルの圧力に戸惑って力を出し切れなかった。控えに回った10月28日のリーグワン2部、愛知戦では後半途中から出場。鋭いランとパスでトライを奪うなどし、評価を回復した。「体の状態はいい。リーグワンにも慣れてきた」と言葉が弾んだ。
身長170センチと小柄なため当たり負けない体作りに取り組む。1日3食から5食にし、体重を入団から2キロ増の82キロにした。得点源のプレースキックの改良にも挑戦中。チームには今季、強豪ウェールズ代表のアンスコムが加入する。今年のW杯フランス大会も経験した助っ人は、「毎試合10番」への高い壁となるだけに精進に余念がない。
同大会では、同い年のSO李承信(リ・スンシン=神戸)も日本代表で出場した。帝京大の同期ながら2年時に中退して上のカテゴリーに進み、昨年に代表デビューした。高本は「今の自分では無理」と実力の差を認めつつ、「27年大会はプレーしたい」と追い上げを目指す。
日本代表SOは、李以外にも新戦力が待たれる手薄なポジション。東京SGで結果を出し、今後就任する代表の新指揮官にアピールしたい。「入団1年目は関係ない。チームを優勝に近づける選手になりたい」。今季そして4年後へ、競争を生き抜く覚悟はできている。(対比地貴浩)