車いすマラソン、24年夏パラリンピックの選考会日程が決まらない…パリで引退意向、49歳土田和歌子らの心中:東京新聞 TOKYO Web

 車いすマラソンの東京パラリンピック日本代表たちが、来夏のパリ大会出場も狙っている。先月、東京大会のコースを活用した東京レガシーハーフマラソンにそろって参加し、強化の現状を確かめた。出場枠を得られる世界選手権の日程がいまだに決まらない事態の中でも、ぶれずにトレーニングを続けている。(兼村優希)

◆雨のレガシーハーフ、連続出場狙う東京パラ代表たち

 雨中のレースとなった。男子で東京大会7位の鈴木朋樹(トヨタ自動車)は序盤から一人旅。ぬれて滑りやすくなったマンホールや水たまりを避けたせいもあって、自身が持つT53/54の世界記録に5分8秒及ばない43分40秒でフィニッシュした。

力走する鈴木朋樹=いずれも国立競技場で

 7月のパラ陸上世界選手権で主戦場の800メートル、1500メートルともに予選敗退と振るわず、車いすを軽いフルカーボン製に新調して臨んでいた。「自分の力を100%走る方向の力に変えてくれ、ペースが落ちにくい」と手応えを感じつつ、「晴れていたら、世界記録を狙えた」と悔しそうだった。

◆喜納と土田のデッドヒート、同タイムでゴール

 女子は東京大会7位の喜納きな翼(琉球スポーツサポート)が、同4位の土田和歌子(ウィルレイズ)とのデッドヒートの末、わずかに先行してゴール。ともに52分45秒で同タイムの僅差だった。喜納は8月に自己記録を更新したものの、感覚がはまらない状態が続いていた。このレースでも手がかりは得られなかったが、「悪くはない。続けていけば、きっかけをつかむ瞬間がくるはず」と前を向く。

スタートに備える(右から)土田和歌子と喜納翼

 この日が49歳の誕生日だった土田は、7月に新調した車いすの乗り心地を確かめながら走った。他選手より腕が短いと自覚している体で効率良く車輪をこげるように、前傾姿勢を強めた形状にしたという。高速化する海外レースに対応するためにスプリント力を磨いてきたものの、喜納を追い抜けなかった。「スピードのある喜納選手と走ることで得られる経験もある」と悲壮感はない。

◆世界選手権6位以内で内定のはずだが…

 マラソンのパリ大会代表は、「今年開催予定」とされている世界選手権で6位以内に入れば内定する。2020年に開かれるはずだった東京大会は前年の19年ロンドン・マラソンが世界選手権を兼ねたが、パリ大会前年の今年のロンドン・マラソンは何のアナウンスもなく終わってしまった。

スタートする車いすの選手たち

 日程が決まらない現状に、パリ大会で現役引退する意向の土田は「これまでにないこと。選手は(世界選手権が)あることを前提に向かっていくしかない」と苦笑交じりに話す。鈴木は「一つ一つのレースを目標にはしているが、コンディションを整えるのが難しい」ともどかしい気持ちを明かした。

◆海外選手集う19日大分国際が大一番

 日本パラ陸上競技連盟はマラソン代表の選考について、もし世界選手権や代替大会がない場合は「再度選考基準を公表する」としている。

 多くの選手は今月19日の大分国際車いすマラソンを今年の大一番に据える。海外のトップ選手も顔をそろえるこの大会で、力を出し切れるか。中ぶらりんな状況に流されず、鍛錬を続ける心の強さも求められている。



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