連載②馬場さん創設「全日本プロレス」一筋の現役レスラー・渕正信さん(69)
子ども時代はゴールデンタイムにプロレスが放送されていて、みんなが見ていたと言ってもいい時代。うちの家族もそうだった。僕は鉄人と言われたルー・テーズに勝った試合を見て馬場さんの大ファンに。プロレスの世界にも、馬場さんに憧れて入りました。
僕は69歳になりました。今年9月、約8カ月ぶりに試合に出場してネットニュースで話題にもなりましたけど、久しぶりの試合でものすごいプレッシャーでしたね。
馬場さんの戦い方はよく「王道」と言われたけれど、それは周りの人が、後から言ったんじゃないかな。
◆馬場さんのCMで女性ファンが増えた
昔はプロレスファンのうち、女性は1割程度。それが、馬場さんがキーボードのテレビコマーシャルで「僕にも弾けた!」なんていうセリフを言ったり、バラエティー番組に出たりして、「かわいい」って言われて子どもや女性のファンが増えてきた。イケメンのプロレスラーも出てきてね。
そうなると、流血試合で観客を沸かせるんじゃなくて、真のアスリート同士が鍛えぬいた体で単純明快に、素晴らしい動きで見せるのがいいんじゃないかとなっていった。それをマスコミなんかが「王道」と呼んだんじゃないかな。
◆「ビジネスマン」だったスター2人、対決が実現していたら?
1979年、馬場さんとアントニオ猪木さんがタッグを組んだ「BI砲」が出場する夢のオールスター戦で、僕は2人の控室にいた。一般には目上のレスラーが後から入場するけれど、人気が
あのころ、2人の対決が実現したらどうなっていたか。想像がつかない。2人ともプロレスを盛り上げた「ビジネスマン」だったから、単発で終わらせず再戦を重ねたかもしれませんね。(聞き手・中谷秀樹)
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<連載:ジャイアント馬場が残したもの~逝去から四半世紀>
日本プロレス界の巨星・ジャイアント馬場さんが亡くなり来年1月で四半世紀を迎える。今もファンから愛される馬場さんがプロレス界や社会に残したものを、ゆかりの5人に聞いた。
◆自伝を復刊、全国の書店で販売中
ジャイアント馬場さんの貴重な肉声を収めた自伝を復刊し、元付き人として馬場さんをよく知るレフェリー・和田京平さんのインタビューと時代状況がわかる序章も加えた「ジャイアント馬場 16文キックの伝説」を、全国の書店で販売中。定価1650円(税込み)、240ページ、四六判。