連載④「キン肉マン」原作担当ゆでたまご・嶋田隆司さん(63)
ジャイアント馬場さんの「王者の魂」は、僕らが描く「キン肉マン」に今も受け継がれていると思っています。主人公・キン肉スグルの赤のショートタイツは馬場さんそのもの。リスペクトの証しです。
◆馬場さんの好勝負、漫画を描くいいお手本に
僕がプロレスを好きになったのは小学校高学年。日本プロレスのエースとして強豪外国人を迎え撃つ馬場さんに心をつかまれました。大きな体で見せる一進一退の攻防が魅力的で、半世紀前から生粋の「馬場派」です。
馬場さんは、動きのスローさが時には
スタン・ハンセンとの初対決(1982年)は前売り券が完売。でも、どうしても見たかった。集英社の編集担当が全日本プロレスと関係が深く、取材パスを手に入れてもらい、リングサイドでカメラマンを装って観戦。ド迫力で興奮しました。当時はそんなことが許されたおおらかな時代でした。
◆還暦試合から1年…生涯現役を信じていたのに
馬場さんとは食事会で同席させていただく機会があり、圧倒的な存在感と威厳がありました。97年の全日本プロレス25周年記念のコラボバスタオルのイラストを描かせていただいたのも懐かしい思い出です。99年1月に亡くなられた時はとにかく驚きました。亡くなる1年前の還暦記念試合での赤いちゃんちゃんこ姿を見て、生涯現役を信じていたので衝撃でした。
60年代にマジソン・スクエア・ガーデンなど一流の舞台でメインイベントを張り、全米を席巻したのは今でいう大リーグ・大谷翔平選手の活躍と同じだと思っています。60年前も、海を渡って世界で通用した「ショーヘイ」(馬場さんの本名)がいたことはもっと評価すべきで、語り継がれてほしいですね。(聞き手・中谷秀樹)
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<連載:ジャイアント馬場が残したもの~逝去から四半世紀>
日本プロレス界の巨星・ジャイアント馬場さんが亡くなり来年1月で四半世紀を迎える。今もファンから愛される馬場さんがプロレス界や社会に残したものを、ゆかりの5人に聞いた。
◆自伝を復刊、全国の書店で販売中
ジャイアント馬場さんの貴重な肉声を収めた自伝を復刊し、元付き人として馬場さんをよく知るレフェリー・和田京平さんのインタビューと時代状況がわかる序章も加えた「ジャイアント馬場 16文キックの伝説」を、全国の書店で販売中。定価1650円(税込み)、240ページ、四六判。